イギリス国債と最近の円安

イギリス国債-20221023 ブログ

近頃は朝晩の寒さと日中の暖かさで気温の変化が大きいですね。

お元気でお過ごしでしょうか。

体調を崩しやすい時期ですが、風邪など引かないように体調管理には十分に気を付けてお過ごしください。

さて、最近気になったことはイギリス国債の暴落があったことです。そして、それに伴い新任のトラス首相が1ヶ月余りで退任に追い込まれました。

イギリスといえば先進国の中でも金融に関しては最先端の国ですが、ユーロ脱退やエリザベス女王崩御から少し変です。

国債暴落の発端は、約50年ぶりの大型減税を実施するための大量の赤字国債発行と同時に、イングランド銀行がQT(量的引き締め)でインフレ対応しようとしたことです。

現在、イギリスは消費者物価指数が10%を超えており、なんと中生ビールが1杯3,000円以上するらしいです。こういった食料やエネルギー関連の物価上昇が激しい関係での中央銀行による引き締め策だったのでしょうが、この言わば原則的な方策が裏目にでてしまったようです。

市場関係者は、政府から赤字国債が大量に出てくるうえに、中央銀行の量的引き締めによる債券の放出で市場が債券でジャブジャブになることにより国債価格の暴落と金利上昇の危機感から、投げ売り状態だったらしいです。

遠く離れた他国のことですが、日本も国債を大量に発行してますので他人事ではありません。ご存知の通り現在の日本は国債残高が1,000兆円を超えております。これは戦前の日本の国債残高がGNPの約2倍だった時と比率が同等水準です。

第二次世界大戦直後の日本は、1945年10月から1949年4月までの3年6ヶ月で消費者物価指数が約10,000%のハイパーインフレを引き起こしました。現在に置きかえると、缶コーヒー1本120円が何と1本12,000円になります。

これではとうてい生活はできなくなり、ついに破綻に追い込まれました。

現在の日本も急激な円安で消費者物価指数が3%を超えてきました。日銀はしばらく量的緩和を続けると言っておりますので、アメリカが金利を下げない限りトレンドが変わらないでしょう。

普通は物価上昇に伴い金利を上げるのが中央銀行の役目だと思いますが、残念なことに上げられない理由があるのでしょう。まさかこういう形で国債残高のツケを払うようになるとは考えてもいませんでした。

光熱費の政府補助の話もありますが、これも結局は国債発行か外貨準備金の取り崩し等で賄う以上、問題の先送りにしかなりません。

したがいまして、日本も将来的には今回のイギリスのように国債の暴落の危険性もあると思います。日本はイギリスと違い、国債の保有のほとんどが国内の機関投資家と日銀なので大丈夫だという人もいます。

しかし、長期金利が1.5%を超えた頃に時価会計BISの基準に触れ大量の売りが予想されます。大量の売りで国債価格が暴落し、急激な金利上昇が発生する可能性があります。

問題は大量の国債残高と、中央銀行が金融調整できない現状です。

1970年台にイギリスは大型減税の影響で国債が暴落しIMFの管理下に入ったそうです。そして今回の暴落も他人事のようには思えませんでした。

厳しい状況が続きますが、これから始まる世紀の実験がうまくいくことを願ってやみません。

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